「人は変われる」って、ほんとうにそうなの?

05.コーチング

「人は変わることができるし、変わる勇気を持つことができる。」
——アルフレッド・アドラー

この言葉を目にしたとき、正直に言うと、少し身構えてしまった。

人は変われる。
そう聞くたびに、どこかで自分に問い返す——
「本当に? だったら私は、もうとっくに変わってるんじゃないか?」って。

でもアドラーのこの言葉は、ただの理想論じゃない。
そこには、“人は変わる力をすでに持っている”という、静かな確信がある。

今日はそんなアドラーの言葉を、
コーチングを志す人、ビジネスとしてこれから形にしたい人たちに向けて、そっと手渡してみたいと思う。


「変われない」のではなく、「変わるのが怖い」

「今のままじゃダメだ」と思っている。
でも、なかなか行動できない——そんな自分にがっかりする。
よくある話だし、私も何度もそこに立ち止まってきた。

アドラーが言うように、
変われないわけじゃない。ただ、変化はいつだって“怖さ”を伴うものだから。

変わって何かを失ったら?
うまくいかなかったら?
誰かに否定されたら?

そのすべてを背負うくらいなら、
「このままでいた方が安全だ」と感じるのも、自然なこと。

でも一方で、こんな問いを投げてみるとどうだろう?

「もし怖くなかったら、どんな自分になってみたいですか?」

そこに浮かぶイメージこそ、
“変わりたい”と願っている自分の本音かもしれない。


大きく変わらなくていい。小さな選択が未来をつくる

変化は、なにもドラマチックじゃなくていい。
むしろ、気づかないくらい小さな一歩の積み重ねが、自分を動かしていく。

たとえば——

  • 朝、10分だけ早く起きて自分の時間をつくる
  • SNS投稿の最後に「今日はこれが伝えたかった」と書いてみる
  • 「やめたいな」と思っていた習慣を、今日はやめてみる

そんなささいな選択の連続が、
1ヶ月後、半年後、「変わったね」と言われる自分につながっている。


クライアントも「変わる勇気」をもう持っている

コーチングの現場でよく出会うのが、
「変わりたいのに変われない」と悩むクライアント。

でも実は——
“変わりたい”と感じている時点で、もう変化は始まっている。

それを信じられるかどうか。
そして、その“一歩手前の揺らぎ”に寄り添えるかどうか。

「まだうまくできていない」
「でも、動こうとしている」

その両方を抱えているクライアントに、
こう伝えてみてはどうだろう?

「怖くても、その一歩を踏み出そうとしてるあなたが素晴らしい」


“誰かのため”より、“自分のため”に変わる

変化を選ぶとき、
「誰かにどう思われるか」が気になって動けなくなることがある。

でも、本当の変化って、“自分の内側”から始まるものだと思うんです。

  • 「こう見られたい」じゃなく、「こう在りたい」
  • 「正しく生きたい」じゃなく、「納得して生きたい」
  • 「誰かの期待」じゃなく、「自分の希望」

そんなふうに、“他人基準”から“自分軸”へと意識を切り替えていけると、変化はずっと楽になる。


「また始める」ことが、いちばんの勇気かもしれない

そして最後に、変化にまつわる誤解を一つだけ。

変化とは、一度決めたら続けなきゃいけないもの——ではない。

途中で止まったって、また始めればいい。
三日坊主でも、四日目にまた始められる人が、実は一番しなやかなんです。

  • 続かなかった自分を責めるより
  • 「よし、今日からまたやってみよう」と思えるかどうか

変化とは、“何度でもやり直せる”という柔らかさのことかもしれません。


今日の問い

今、あなたが「変わりたい」と感じていることは何ですか?
その変化を“誰かのため”じゃなく、“自分のため”に選ぶとしたら、どこから始めてみたいですか?

あなたのその問いが、
変化への“最初の一歩”になるかもしれません。

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