コーチングの成功は、クライアントの行動変容にかかっている。つまり、ただ「やるぞ!」と気合を入れてもらうだけでは不十分で、実際に行動を継続してもらうための仕組みが必要だ。
そこで活躍するのが、ロバート・チャルディーニの名著『影響力の武器』に登場する「コミットメントと一貫性の法則」だ。人は、一度「やる」と決めたことを曲げたくないという心理を持つ。この性質をうまく活用すれば、クライアントが途中で挫折することなく行動を習慣化できる。
今回は、この法則をコーチングにどう応用するか、具体的な方法を紹介しよう。
1. 小さな約束からスタート
「さあ、大きな目標を立てましょう!」と意気込んでも、プレッシャーで逆に動けなくなることがある。そこで、まずは「確実にできる小さな約束」から始めるのがポイントだ。
具体例:
- セッションの最後に「次回までに○○をやってみますか?」と聞き、クライアントに「やる」と言ってもらう。
- 「毎日10分ストレッチする」など、簡単な習慣を設定する。
- 「1日1行日記を書く」など、ハードルを低くする。
この積み重ねが、大きな行動変容につながる。
2. コミットメントを可視化する
人は、紙に書いたり公言したりすると、その約束を守ろうとする。だから、目標や決意を「見える形」にすることで、モチベーションが倍増する。
具体例:
- コーチング契約書にクライアントの目標を書いてもらう。
- セッションごとに「次回までにやることリスト」をGoogle Docsやノートに記録し、共有する。
- SNSやブログで「○○に挑戦します!」と宣言してもらう。
書き出すことで「本当にやるんだ!」という意識が強まり、実行しやすくなる。
3. 過去の決断を引き合いに出す
人は、過去の自分の決断と矛盾しない行動をとりたがる。この心理を活かし、クライアントが以前した決断を思い出させると、行動の継続につながる。
具体例:
- 「以前『健康を大切にする』と言っていましたよね?今週も続けられそうですか?」と問いかける。
- 「3週間前に『○○をやる』と決めましたが、進捗はどうですか?」と振り返る。
- 「あなたは『行動を変えたい』と言っていましたね。次のステップとして何ができそうですか?」と質問する。
自分で決めたことを思い出すと、「やらなきゃ!」という気持ちが強まる。
4. パブリック・コミットメントの威力を活用
目標を他人に宣言すると、責任感が生まれ、行動しやすくなる。これはシンプルだが、非常に強力なテクニックだ。
具体例:
- 「家族や友人に目標を話してみてください」と促す。
- コーチングのグループセッションで「次回までに達成したいこと」を発表する。
- SNSやブログで進捗を報告するよう提案する。
「他人に見られている」という感覚が、サボることを防ぐ。
5. 成功体験をフィードバックして次の行動へつなげる
小さな成功体験を積み重ねることで、「自分はやればできる」という自信が育ち、行動の継続が当たり前になる。
具体例:
- 「今週、目標通り行動できましたね!次はこれをもう少し広げてみませんか?」とステップアップを提案。
- 「過去の成功を振り返ってみましょう。あなたはできる人です!」と自信を強化。
- 「この流れで次の1週間も続けてみましょう!」と次のアクションにつなげる。
「やればできる」という自己イメージが行動のハードルを下げる。
まとめ
「コミットメントと一貫性の法則」を活用すれば、クライアントは自然と行動を継続しやすくなる。
✔ 小さな約束から始める → 無理なく習慣化。 ✔ コミットメントを可視化する → 記録することでモチベーションを維持。 ✔ 過去の決断を引き合いに出す → 継続を促す。 ✔ パブリック・コミットメントを活用する → 他人の目を意識。 ✔ 成功体験をフィードバックする → 自信を育み、行動を加速。
この法則を使いこなせば、クライアントの行動変容がスムーズに進み、より確実な成果を出せる。あなたのコーチングにもぜひ取り入れてみよう!

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